2014年11月19日星期三
「自分、不器用ですから」…
「自分、不器用ですから」…
「自分、不器用ですから」。利にさとい者が幅を利かせる世の中で損ばかりしている不器用な男たちは、この言葉にどれだけ勇気づけられただろう
▼「健さん」が逝った。寡黙で生真面目で、いざというときには体を張って筋を通す。かっこいい九州の男を、銀幕でも私生活でも貫いた高倉健さん。83歳だった
▼痛快な任侠(にんきょう)映画の後で、肩を怒らせて映画館から出た覚えがある人もいよう。「幸福の黄色いハンカチ」や「鉄道員(ぽっぽや)」で見せた武骨な男の一途な情愛に涙したファンもいよう。世代を超えて愛された名優である
▼撮影現場ではスタッフを気遣っていすに座らなかった。監督と2人に出た豪華な食事には手を付けず、皆と同じ食事にしてもらった。人柄をしのばせる逸話には事欠かない。男っぽさの裏にある優しさが演技の深みとなってにじんでくる不器用ですから
▼著書「あなたに褒められたくて」では古里の母への思いをつづっている。雪山や南極で撮られた映画を見ては心配し「仕事をやめなさい」と手紙が届いた。派手な入れ墨の背中を前に向けて立つ任侠映画のポスターを見て、かかとにあか切れのばんそうこうを貼っているのに気付いたのは母だけだった不器用ですから
▼母に褒められたくて三十数年駆け続けてこられた、と著書で述懐している。その母の葬儀は撮影を優先して参列しなかったのもこの人らしい。今頃、天国で不器用な生き方を褒めてもらっているだろう。不器用ですから
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